鬼怒無月 / 芳垣安洋

あたりまえの事だけど、ライブを見に行く時、どんな音を聴くことが出来るのか、大体の予想を頭に中に準備しておく。鬼怒無月芳垣安洋のデュオという事になれば、ゴリゴリのつばぜり合いというものが思い浮かんでいた。ところが昨夜のライブは、オレの予想とは若干違っていて、ゴリゴリな瞬間もあったけれど、エゴのぶつけあいよりも、相乗効果を狙った演奏。鬼怒はドブロ、フォーク、クラシックの3種類のアコースティックギターを使い分けながらの演奏で、ブルース、アラビア、ケルト、ベイリー等、色んなスタイルの音を奏でる。対する芳垣はアフリカンなスタイルのリズムをベースに、多種多様のパーカッションスタイルを聴かせた。

昨夜の演奏のイニシアチブを持っていたのは鬼怒で、演奏そのものは事前にモチーフを決め、それにあわせた即興演奏と言えると思うのだけど、どの演奏も作曲されたものだと言われても納得できる内容。即興演奏好きじゃなくても楽しめる演奏だったはず。そして3曲の作曲された曲の演奏があり、ライブ冒頭の鬼怒のソロによるDylanの「My Back Pages」、Dave Holland作曲の「Conference of the Birds」、Charlie Haden作曲の「La Pasionaria」(多分この曲だったと思うけど、間違っているかもしれない・・・)と、どれも甘美な旋律を持っている曲で、この辺りに鬼怒のベースになっている部分が見え隠れしていると言えるのかもしれない。









鬼怒無月 『Guitar Solo』









鬼怒無月 『Quiet Life』