Struggle for Pride

You Bark, We Bite.』の1曲目を聴くと、世界中で最も麗しい声が聴こえてくる。その声の持ち主はカヒミ・カリィ。彼女の朗読は、その息継ぎまでも魅惑の音として響く。

わずか2分ほどの美しい時間の後、Struggle for Prideのノイズが現実に引き戻す。




SFPというバンドをこのCDで初めて聴いた。彼らの音を聴いていると、最初期のBoredomsがハードコアを演奏している音が頭に浮かぶ。

彼らのノイズは、微音弱音無音にまで行ってしまった流行のノイズとは違い、初期衝動的なノイズの強さ(暴力性)を感じるけれど、それはむやみな仕掛けではなく、予想外にも理性を内包している。バンドとしてのハードコアの演奏はノイズの後ろ側に配置されていて、それが元々の彼らの姿なのか、イリシット・ツボイによるミックスの効果なのかわからないけれど、ここにある音像は新しさを感じさせないにもかかわらず、今までに聴いた事の無い様なものにも思える。



一つ微妙に感じたのは、2曲目の「Blockpain」にフィーチャーされているラップ。オレはこのラップをBossのラップだと思った。だけどクレジットを見て、それが間違いである事を知った。そのラッパーの事をオレは全然知らないけれど、リリックもラップ(声)もあまりにもBossに似ていやしないだろうか?

だけど、オリジナルかそうじゃないかという事を抜きにして単純に面白いと思ったものを使ったのであれば、それはそれでいいんじゃないかと思えるという事もあって、少し複雑な気分になる。