Coldcut

9年ぶりの新作が出た。移り変わりの激しいダンスミュージック側に属するミュージシャンとして、これぐらい間を空けているということはどうなのかと思わないでもないけれど、それでも御大Coldcutの新作となればやはり世間は注目する(はず)。昨年末ぐらいに先行シングルが出ていたのだけど、まあそこは我慢して、やっと『Sound Mirrors』が発売になった。

前情報でMike LaddやJohn Spencerが参加しているという事で、期待は大きい。



Coldcutと言えば、思い浮かぶのはブレイクビーツ。今回のアルバムも、もちろんブレイクビーツで組み上げられているわけだけど、そういうスタイル自体は既にある程度やり尽くされた感がある。だからなのか『Sound Mirrors』では、何よりも歌が耳につく。そしてその歌はフォーキーさを伴ったものもあり、「The Bookに影響を受けたか?」と、感じる。

このアルバムはダンスミュージックの最先端からは距離を持ったものになっていると思うけれど(或いはこれが現在の最先端?)、恐らくリミックスの素材としてのアルバムとColdcutは割り切ったのか、もしくはアルバムという形態に見切りをつけたのか、それとも大真面目に歌モノという事を考えた結果なのか、それはこの先の展開でわかることだと思うけれど、個人的には、あまり繰り返し聴くようなものでは無い。それにもかかわらずこの先の展開について考えさせるあたり、「さすがはColdcut」と思うのは、欲目ということになるのだろうか。