Likkele Mai

Dry & Heavyのボーカル、Likkele Maiが、いよいよ本格的なソロ活動を開始。7inchシングルなどが既にリリースされている状況はあったのだけど、昨年末にはCDシングル『Why are You in a Hurry?』が発売されていた。

レゲエというスタイルは、その優れたリズムの方言によって確立されている音楽。レゲエと呼ぶからにはあのリズムでなければイケナイわけで、こういう言い方をしてしまうと誤解を受けるかもしれないけれど、その音楽的スタイルが確立されて以降、大きな変化は感じられない。現在ジャマイカで生み出されるレゲエと、Bob Marleyの残した音を聴き比べてもあまり差異を感じることはない。そんな状況で新しい音を聴くという事は、イコールそのミュージシャンの個性を聴くという事につながるのではないかと思う。

Dry & Heavyというグループは凄くセンスを感じさせるグループで、あくまで演奏に比重を置きながらも、ダブ的なエコーの響かせ方を過剰にせず、重心の低い、地を這うような音を聴かせる。そのなかにあって時折Likkele Maiの歌声がかぶさる事によって、ボトムの方ばかりではなく、その上にあるメロディーが自然に体に染みていく。彼女の歌声は押し付けがましいものではないけれど、十分に個性的で、だからこそDry & Heavyという優れたグループにおいて、重要なシンガーとして常に必要とされているのだと思う。

そんなLikkle MaiのCDシングルは、予想外に日本語で歌われている(英語とのミックス)。それは彼女が「Dry & HeavyのLikkle Mai」ではなく、あくまで「等身大のシンガーとしてのLikkle Mai」を意識したからなのだろうか。




そしてこのシングルを聴く限り、Likkle Maiというソロシンガーのターゲットは、やはり同世代の女性だろう。Dry & Heavyの名前を全然知らないような子でも、このLikkle Maiのソロの曲はすんなり受け入れられると思う。そこから遡ってDry & Heavyに、、、は、行かないか。