坂田明 / Jim O'Rourke

同じ組み合わせを二日連続で見に行く必要があるかと聞かれれば、「見たいから」としか答えられない。という事で、坂田明とJim O'Rourkeのセッションを二日連続で見てきた。

全体的な構成は前日と同じ。でもやはり細部は違っていて、例えば1stセットで坂田明が民謡的な歌いまわしをするところは前日には無かった(はず)。そういえば前日の演奏で、「バリトン?、いや違う。でもテナーじゃいよな?」と思ったホーンを使っていた。それが昨夜、バスクラであるという事に気付いた。結構音がいじってあるのと、バスクラの奏法がDolphyのような急激なフレーズを多用せず、割と朗々と吹くという事も手伝って楽器の正体が見抜きにくかった(と、言い訳しておく)。しかしこの人今60歳だったと思うけど、それでこんなに吹ききる事が出来るなんて、今まであまり注目してなかった事に自分自身の不勉強さを痛感させられた。

ヨシミは前日はドラムに布をかけてあったりしたのだけど、昨夜は無し。昨日のログには書かなかったけれど、ヨシミのドラムセットは、バスドラやシンバル、ハイハット等はセットされてなくて、多分タムだけの構成だったと思う。だからドラムというよりパーカッション的なアプローチだった。そして彼女のボーカルというのは言葉を伴ったものではなく、よくある暗黒系なものとも、Mike PattonやEYEのようなハードコアのものとも違っていて、多分、民族音楽的な影響を受けたものだと思う。ブルガリアンとかピグミーとか、そういったものに影響を受けたスタイルじゃないだろうか。その声が坂田のサックスと共鳴するところは、今回の聴きものの一つだった。

そして最も個人的に注目していた、というか、恐らくあの場にいた大半のお目当てだったJim O'Rourke。昨夜はそのプレイが見やすい位置だったので、彼の動きを凝視していた。今時のエレクトリックなアプローチとは違って、Jimはラップトップを使っていない。常にツマミを触って、いじりまくって、音を構成していく。前日はリアルタイム・サンプリングで坂田明の音を拾って、それをループさせた音にのせて坂田明がサックスを吹くという事をやっていたけど、昨夜はその手法は使っていなかった。そして彼のギター。やはり彼のギターのスタイルにはBaileyからの影響が伺える。アヴァンなギターというものでわかりやすいのは、やはりノイジーで音量を上げた音だろうと思うけど、JimのギターはBaileyのギターと同じように、ノイズを使わないときでも、速いパッセージじゃなくても、耳を惹きつけるフレーズを持っている。




そういえば、Jim O'Rourkeは現在日本に住んでいるという話、それを聞いた時は作り話だと思っていたのだけど、こうなってくると本当の話なんだなって気がしてきた。そうなると、これからもJimの演奏を聴ける可能性が高いという事になる。

それと、この両日とも録音されていて、どうも、このセッションもいずれはCDになる可能性があるらしい。『およばれ』セッションの続編も6月(だったか?)に発売されるらしいし、また買わなければいけないものが増えてしまった。