Boards of Canada

3年ぶりの新作『Campfire Headphase』、基本的には今までの路線と大きな変化は見られない。日本盤のライナーに書いてあるが、生楽器の比重が若干増えたという程度で、その音楽性に影響を及ぼすようなものではない。

このグループの持ち味と言えば、やはりそのメランコリックなメロディーだと思う。エレクトリックなサウンドにメランコリックなメロディー、それを若干アブストラクトに仕上げるという説明ではケチがつくかもしれないけど、オレ個人はそういう風に感じている。そして根本ではどうしてもリズムの呪縛から逃れられない、その影が見え隠れして、それがこのグループの個性だと思う。例えばオレが今年聴きまくったFennesz、彼の音に完璧に嵌ってしまったことを考えれば、オレはBoards of Canadaのファンであったとしてもおかしくない。それでもBoards of Canadaの良いリスナーでは無かったのは、Fenneszの音に感じる「不安と幸福感の交錯」みたいなものが、Boards of Canadaから得る事が出来なかったからだろう。安心して聴けてしまう、それがオレにとってのBoards of Canadaで、そこが良くも悪くもあるというちょっと複雑な心境だったりする。



この新作は、今までのBoards of Canadaの集大成と言ってもいいかも知れない。若干増えた生楽器、特にギターの音は感じるものが多い音だし、この季節にふさわしいアルバムだと思う。でもオレは、このアルバムを繰り返し聴くのかどうか、わからない。今のオレには、Rei Harakamiの『Lust』とThe Booksの『Lost and Safe』が、ヘビーローテーションになりつつあるから。