Altered States

しつこい感じかも。

新作『Bluffs』がライブ時に先行発売されていたのを購入。そして今回、廃盤になっていて入手困難だった二つの作品『Altered States』と『4』も少量プレスを行い、ライブ時に販売していた。オレは初日に新作『Bluffs』と、持っていなかった1stの『Altered States』を購入。ところがチラシで『4』はリマスターを行ったとわかり、悩んだ挙句最終日に購入。これだから・・・、まあそれはいい。

新作『Bluffs』は、前作の『Plays Standards』以来5年ぶりの作品。このアルバムの為に150時間の録音を行い、そのうちの130分がCD2枚に収められた。もちろん100%インプロセッションで、53分の曲もあり、ライブを思い起こす。購入以来繰り返し聴いているけど、どこを切ってもAltered States色で、ファンにとっては嬉しいアルバム。2時間を越える無いようだけど、ツマラナイ音は無い。このアルバムはAltered Statesの代表作、だと思う。



Altered Statesは、内橋和久、ナスノミツル芳垣安洋という、日本屈指のプレイヤーの揃ったバンド。この三人、恐らく世界中の何処に行っても、ミュージシャンとしての職は確保できるだろう。CDを聴いている上では、一番目立つのはやはりギターの内橋和久。この外さない音は、何時聴いてもカッコいい。そして、日本のアヴァン系で、吉田達也と共に最も知名度のあるドラムと言っていい芳垣安洋。さらにユーティリティープレイヤーとして、色んなセッションに呼ばれまくるベースのナスノミツル。Altered States結成後の16年間、メンバーチェンジなどもなく、活動を続けてきている。通常この手のバンドにはメンバーチェンジがつきものだけど、このバンドに関しては、そんな心配は要らないのかもしれない。誰かが抜けるとしたら、それはAltered Statesの活動停止になるのだと思う。ただ、個々の活動が活発なこのバンドは、ここ数年は、あまりライブを行ってなかった。久しぶりに今年の5月、新宿ピットインでライブを見て、やはりこのバンドは面白いと再確認。その時に既に今回の3Daysの告知はしていたので、その頃から楽しみにしていたライブだった。この前の投稿にも書いたけど、このバンドは基本的にインプロ主体で演奏を行う。だから、個々の活動の成果をライブでお互いにぶつけ合うシーンがあって、それが醍醐味で、それがあるからこそ、このバンドは続いているのだろう。そして持っている音楽的語彙が、ジャズ的なものよりロック的な物の方を強く感じるでので、その音はアヴァンギャルドであっても、人懐っこかったりする。だからこそ、例えばプログレのような音楽が好きな連中には、このバンドの演奏に触れてみてほしい。Soft WorksやKing Crimsonのコンサートでは感じる事の出来なかった、ロック的なカタルシスをこのバンドは提供してくれる。



個々に目を向ければ、まずは内橋和久の最近の大きな仕事、UAとのコラボレーションが注目度が高いだろう。UAの現時点での最新作『Breath』は、作曲、プロデュース、トラック共に、内橋和久が担当している。要するに、ほぼ、内橋和久とUAのコラボレーションで成り立っているアルバム。これで多少は知名度が上がったかと思ったけど、実際はどうなんだろう。

芳垣安洋は、リーダーとして参加しているEmergency!が有名。このグループは、大友良英なんかも参加していて、力強い演奏が身上。実はオレは、CDなんかでは、ドラムという楽器にあまり耳が向かない。それはドラムに関しては、CDとライブでの存在感が、あまりにも違いすぎると感じているから。CDではそんなにスリリングに聴こえなくても、ライブで聴くと、ドラムという楽器は存在感を増す。特に芳垣安洋は、その力強いドラミングで、いつも周りを挑発する。芳垣安洋は、個人的にもっとも好きなタイコ叩き。

Altered Statesでは最も地味な存在に感じるナスノミツル。ASでは前に出てくる事は無くて、いつも一歩引いた所からグルーヴを支えている。但し、それだけではなくて、かなりキメに近いフレーズを連発したりして、気が付くとナスノミツルの弾くベースラインを、耳が追っている事が多い。プレイ中も陶酔してしまうような事はなく、ニコニコした表情を浮かべながら、必要な音をクールに提供している。早川岳晴のような派手さは無いけれど、その分その音を提供できる場は多い。ナスノミツルと早川岳晴、対照的なイメージすらあるこの二人のプレーヤーが絡んだ音は、日本の一番面白いところの音。



実は同じミュージシャン(バンド)のライブに三連荘で行くなんて珍しいどころか初めてのことで、二連荘も、高校生の頃に行った佐野元春(!!!)ぐらい。今回は三日とも違う内容という事も大きいが、やはり今オレが一番聴きたい音だったという事を初日で確認できた事が三連荘という行動につながった。安心できて刺激的な音。どちらかだけなら他にも色々あるけれど、この両方を兼ね備えた音というのは稀有な事。その稀有な音が、Altered Statesという事。